Alley Cat Alliesが作成している、猫のHQHVSN(high-quality, high-volume spay/neuter:高品質かつ大量の避妊去勢手術)の効率的手順についてのポスター“Spay and Neuter Express Poster”(https://www.alleycat.org/resources/spay-and-neuter-express-poster/)に従って、HQHVSNの手順を見ています。
6. Eartipping(耳カット)
While the cat is still under anesthesia, eartip the cat’s left ear. Put a straight hemostat across the tip, exposing no more than 3/8 inch for an adult cat, and use a scalpel to cut the tip off.
麻酔が効いている間に、猫の左耳をカットします。成猫の場合、3/8インチ(約1cm)を超えない範囲で先端にまっすぐな止血鉗子を当て、メスで先端を切り落とします。
【のらぬこの解説】
TNRのために避妊去勢手術を施した野良猫には、手術済みの証として耳カットが施されます。かつて牛のように、耳にタグをつける方法が検討されたことがありますが、脱落しやすいことや装着部位に感染が起きやすいことなどから、普及はしませんでした。また米国では避妊手術の手術後に入れ墨を入れることがよく行われ、脱落しないという点においてはよい方法ですが、捕獲しなければ手術の実施状況がわからないという欠点があります。マイクロチップも脱落しませんが、捕獲してスキャンしなければ情報が読み取れません。結局、なるべくして「耳カット」が主流となったわけです。
欧米では片耳の先端を切り落とす「ストレートカット」が主流ですが、日本では「V字カット」が主流です。「V字カット」の場合、切込みが小さいとケガと間違いやすいので、しっかりとカットする必要があります。
どちらの耳をカットするかについても、統一された基準はありません。米国では性別を問わず左耳をカットするのが主流ですが、同じ米国でも右耳をカットする地域もあります(西海岸に多いので「西海岸スタイル」とも呼ばれます)。日本でも性別を問わず片耳(左耳が多い)をカットすることもありますし、「オスは右耳」「メスは左耳」と決めていることもあります。どうするかについては野良猫の世話人からのオーダーによりますが、日本では「オスは右、メスは左のV字カット」が多いと思います。こうして見ると欧米よりも日本の方が、芸が細かいなと感じます。
カットの際にハサミを用いるかメスを用いるかは執刀医の好みによりますが、一般的にはメスよりもハサミの方が、出血が少ないようです。とはいえ、耳の先端なので勢いよく出血…などということはありません。オスの成猫は比較的出血が多いようです。