スペイクリニックを建設する際のいわゆる「建設ガイド」が、ASPCA(米国動物虐待防止協会)により公開されています。その“S/N Building & Equipment Resource Guide”(以下「ガイド」)を元に、スペイクリニックの立地について考えてみたいと思います。
Considerations for Site Selection 立地に関する考慮事項
何かを建設しようとした場合、「何を」建設するかよりもまず「どこに」建設するかが重要です。とはいえ、スペイクリニックは非営利団体が運営することが多いので、「建設できる場所」に建設することが多いと思います。イチから建設地を探すとして、その際に考慮すべき事項として、「ガイド」では次の6点があげられています。
Accessibility(交通の便)
Safety(安全性)
Transport(幹線道路へのアクセス)
Other Vets(近隣の動物病院)
Noise(騒音)
Parking(駐車場)
それぞれについて考えていくことにしましょう。
Accessibility(交通の便)
「ガイド」ではまずこう書かれています。
Accessibility—how easy will it be for your target public to get to your clinic? Is the location near a bus line (if applicable)?
交通の便-対象となる人々が、あなたのクリニックに行くのは簡単でしょうか?バス路線の近くにありますか(該当する場合)?
自動車大国の米国において、まず挙げられているのが「交通の便」です。TNRの対象猫や、アニマルシェルターや自治体からの依頼の手術であれば、それぞれの動物は捕獲器やケージに入れられた状態で、自動車で運ばれてくるでしょう。しかしスペイクリニックは低所得層のペットも対象にしています。そういった人たちは、必ずしも自動車を保有しているとは限りませんし、健康上の理由から自動車を運転できないかもしれません。そのため、交通の便が重要なのです。必ずしも交通至便である必要はありませんが、何らかの公共交通機関で到達できるような場所が望ましいといえます。ただし後述しますが、スペイクリニックには駐車場が必須です。交通の便が良い場所は土地代も比較的高いので、その辺の兼ね合いを考える必要はあります。
※日本においては、キャリーケースに入ったペットであれば、手荷物扱いで路線バスに持ち込むことが可能です。