スペイクリニックの立地 その3

ASPCA(米国動物虐待防止協会)の“S/N Building & Equipment Resource Guide”(以下「ガイド」)を元に、スペイクリニックの立地について考えています。

 

Other Vets(近隣の動物病院)

「ガイド」にはこう書かれています。

 

Other Vets—is the location too close to a private vet, possibly creating a conflict?

他の獣医師 — 場所が私立動物病院に近すぎて、競合が発生する可能性がありますか?

 

この点については、私は若干違う考え方を持っています。確かにスペイクリニックは、フルサービスの動物病院から若干の仕事を奪うかもしれません。具体的には、避妊去勢手術やワクチン接種(1回目)、駆虫(1回目)、マイクロチップ装着などです。しかし飼い主にとって、フルサービスの動物病院がペットが亡くなるまでの長い付き合いになるのに対して、スペイクリニックは避妊去勢手術の時だけの関係です。ですので、基本的に競合関係は生じないと私は考えています。逆に、獣医師との初対面がスペイクリニックというような「意識低め」な飼い主に「かかりつけ医」の必要性を教育し、近くの動物病院を紹介するというような流れになれば、フルサービスの動物病院にとっても悪い話ではないでしょう。

 

またスペイクリニックにとっても、状態が悪く手に負えないような動物が持ち込まれた場合や、緊急事態が生じた際に、診療・治療機器が充実したフルサービスの動物病院が近くにあり、日常から協力体制を築いておけば、非常に心強いといえます。

 

Parking(駐車場)

スペイクリニックに駐車場は必須です。アニマルシェルターや動物管理機関などからの請負のみであれば最低限の駐車場でよいでしょうが、地域住民全てを対象にした“public business”の場合、それなりの規模の駐車場が必要です。「ガイド」にはこう書かれています。

 

Parking—do you have enough space to accommodate your percentage of public business? Remember that for next day release, you will have vehicle traffic for pick-up and new intake in a 1-1/2 hour window.

駐車場—一般受入れの比率に応じた十分なスペースを確保していますか? 翌日退院の場合、1時間から1時間半の間に引き取りと新規受入れのための車両通行が発生することを忘れないでください。

 

手術後の動物を一晩入院させる場合、翌朝は退院の動物の引き渡しと当日手術の動物の受入れの車両が同じような時間帯に集中しますので、それに応じた駐車スペースが必要です。