ASPCA(米国動物虐待防止協会)による、スペイクリニックを建設する際のいわゆる「建設ガイド」 “S/N Building & Equipment Resource Guide”(以下「ガイド」)を元に、スペイクリニックの理想的な間取りについて考えてみます。あくまでも「理想的な」ですので、極力これに近づけることが望ましいといえます。
This is a list of ideal components for a 1-Vet clinic(獣医師1名のクリニックの理想的な要素)
Exam(診察室)
NEED TO HAVE(ぜひ欲しい)
Required by most state’s vet practice act. Exam table.
ほとんどの州の獣医師法で義務付けられています。診察台。
NICE TO HAVE(あった方がよい)
Sink - may be required also by practice act
流し台 - 実務上でも必要な場合があります。
COMMENTS(コメント)
Position next to lobby for convenience and to minimize exposure potential for sick animals. Can double as isolation when needed.
ロビーに隣接して設置することで、利便性を高めるとともに、病気の動物に接触する可能性を最小限に抑えることができます。必要に応じて隔離室と兼ねることができます。
【のらぬこの解説】
米国のほとんどの州では動物病院に診察室を設置しなければなりませんが、日本では必置ではありません。普通の(「フルサービス」の)動物病院には診察室がありますが、スペイクリニックでは必ずしも必要ではありません。“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”(シェルター獣医師会の避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016)には、手術前の身体検査についてこう書かれています。
Ideally, the physical examination should be performed before the animal is anesthetized, but anxiety, aggression, or feral behavior may prevent a thorough examination prior to sedation or induction of anesthesia. Ultimately, whether the physical examination is performed before or after the animal is premedicated or anesthetized should be at the discretion of the attending veterinarian.
身体検査は動物に麻酔をかける前に行うことが理想ですが、不安、攻撃性、または人馴れしていないことにより、鎮静または麻酔導入前の徹底的な検査ができない場合があります。最終的には、身体検査を動物の前投薬または麻酔の前に行うか後に行うかは、担当獣医師の判断に委ねられます。
飼い犬や飼い猫であれば、診察室で飼い主立会いの下で身体検査が可能でしょうが、野良猫や攻撃性の強い犬などの場合、麻酔が効いた状態で手術前に身体検査を行うということも現実的には多いのです。