スペイクリニックの理想の間取り<パック場>

ASPCA(米国動物虐待防止協会)による、スペイクリニックを建設する際のいわゆる「建設ガイド」 “S/N Building & Equipment Resource Guide”(以下「ガイド」)を元に、スペイクリニックの理想的な間取りについて考えてみます。あくまでも「理想的な」ですので、極力これに近づけることが望ましいといえます。

 

This is a list of ideal components for a 1-Vet clinic(獣医師1名のクリニックの理想的な要素)

 

Pack Area(パック場) 

 

NEED TO HAVE(ぜひ欲しい)

Sink, counter space 

流し台、カウンタースペース

 

NICE TO HAVE(あった方がよい)

More counter space. Shelving

さらに多くのカウンタースペース、棚

 

COMMENTS(コメント)

Sink to wash instruments & ultrasonic cleaner. Need counter space to assemble packs. Consider that autoclaves can generate extra heat when vented.

器具を洗うための流し台、超音波洗浄器。パックを作るためのカウンタースペースが必要です。オートクレーブは、排気時に余分な熱を発生する可能性があることを考慮してください。

 

【のらぬこの解説】

「パック場」とは手術用パックをセットし、滅菌するための場所です。Pack Areaと表現されているとおり、現実的には洗濯室や準備室の片隅にそれ用のスペースを設けることになります。少なくとも流し台(兼用可)、作業台(兼用可)及びオートクレーブが必要です。

 

手術用パックとは、手術1回分(つまり1頭分)の手術器具を布(ドレープ)に包んでオートクレーブで滅菌したものです。手術の際にはこれを1包ずつ開封して使うわけです。使用済みの器具はパック室の流し台で随時洗浄します。通常は手術の前日に、必要数の手術パックを作っておくのですが、手術頭数が多く途中でパックが足りなくなることも多く、器具をドレープに包みオートクレーブで滅菌するという作業を手術と並行して行います。

 

スペイクリニックの場合は実施する手術が決まっているので、パックの中にどのような器具を入れるかはおのずと決まってきますが、執刀医の好みや術式によって微妙に異なりますので、その点は執刀医に確認が必要です。