スペイクリニックの理想の間取り<猫部屋>

ASPCA(米国動物虐待防止協会)による、スペイクリニックを建設する際のいわゆる「建設ガイド」 “S/N Building & Equipment Resource Guide”(以下「ガイド」)を元に、スペイクリニックの理想的な間取りについて考えてみます。あくまでも「理想的な」ですので、極力これに近づけることが望ましいといえます。

 

This is a list of ideal components for a 1-Vet clinic(獣医師1名のクリニックの理想的な要素)

 

Cat Room(猫部屋)

 

NEED TO HAVE(ぜひ欲しい)

Small exam table, 2 cage banks = 24 cages total

小型診察台、2列ケージ=計24ケージ

 

NICE TO HAVE(あった方がよい)

Extra space for supplies. Separate room for public vs. shelter cats

充実した物資置き場。一般の猫とシェルターの猫のための別の部屋

 

COMMENTS(コメント)

One 12-unit cage bank is 6’ w x 5’ 2” high. If cage banks face each other--must be at least 5’ width apart to prevent disease spread. In-operable window is nice for added light.

12ユニットの集合ケージは1 つにつき幅1.8m×高さ1.6mです。集合ケージが向かい合っている場合、病気の蔓延を防ぐために、少なくとも1.5mは離す必要があります。開閉可能な窓は、採光性に優れています。

 

【のらぬこの解説】

飼い猫の手術を受け入れ、かつ一晩入院させる方針のスペイクリニックであれば、一般の動物病院にあるような入院室が必要です。預かった猫は入院室のケージに入れられ、手術後麻酔から回復したら同じケージに戻しそこで入院することになります。

 

ほとんどがTNRやRTFといった野良猫の手術だったり、手術後即日退院のスペイクリニックであれば、持ち込まれたキャリーケースや捕獲器で管理可能ですので、温度管理のできる部屋があれば事足ります。特に人馴れしていない猫は捕獲器等での個別管理が必要です。“The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”(シェルター獣医師会の避妊去勢プログラムにおける獣医療ガイドライン2016)にもこう書かれています。

 

Intractable or feral animals should be housed in traps or other enclosures that allow for administration of anesthetics without extensive handling to minimize animal stress and maximize handler safety.

手に負えない動物や野生の動物は、動物のストレスを最小限に抑え、取扱者の安全を最大限に確保するために、大掛かりな取り扱いなしで麻酔薬を投与できる捕獲器や他の囲いに収容する必要があります。