あけましておめでとうございます。2023年(令和5年)はウサギ年ということで、ペットとしてのウサギについて考えてみます。ウサギは犬や猫から大きく水をあけられているとはいえ、日本の家庭で3番目に多く飼われている哺乳動物です。私が勤めている保健所にも、年に数件「ウサギが飼えなくなった」という相談が寄せられます。またウサギは学校飼育動物としても人気があります。しかしウサギという動物について、詳しくはよく知られていないのが現状ではないでしょうか。ここでは、ウサギとはどのような動物か、犬や猫と違う点について列挙してみます。
骨が軽い
ウサギは骨が軽く、筋肉が多いという特徴があります。それはすなわち骨折しやすいことを意味します。取り扱いには十分に気を付ける必要があります。
歯が伸び続ける
ウサギは歯が伸び続けるため、噛むための適切なアイテムを提供することが重要です。
後腸発酵動物
ウサギは草食性動物です。食べ物の消化は盲腸の中に棲んでいる微生物によって行ないます。この特徴から、使用できる抗生物質はかなり限られます。またウサギの「軟便」には吸収しきれなかった栄養素が含まれていて、自らの軟便を食べることでその栄養素を取り込みます。
鼻呼吸が必須
ウサギは鼻呼吸が必須で、腹腔と比較して胸腔が比較的小さい(つまり肺活量が少ない)という特徴があります。これは上気道感染症や腹部膨満が重度の呼吸困難を引き起こす可能性があることを意味します。また拘束の際には鼻をふさがないよう注意が必要ですし、ウサギを手術台に乗せる際にも注意が必要です。
縄張り意識が強い
避妊去勢手術未実施のウサギの中には、縄張り意識が強く非常に攻撃的なものもいて、一般的には未処置の複数のオスまたはメスを同居させることは推奨されていません。
水をよく飲む
「ウサギは水を飲まない」とよく言われますが、実は他の動物よりも水をよく飲みます(体重1kgあたり120~150 ミリリットル)。ボトルから飲むが好きな個体と、ボウルが好きな個体がいるので、両方を試してみる必要があります。
繁殖力が高い
ウサギは早ければ生後3ヶ月から性成熟を迎えます。ウサギは猫と同じ交尾排卵動物のため、妊娠率は非常に高いです。ウサギの妊娠期間は約1か月で、1回の出産で6~10匹の子を産みます。またウサギの子宮は左右の子宮角が独立している「重複子宮」のため、妊娠中であっても再び妊娠が可能です(重複妊娠)。