スペイクリニックの酸素ボンベ その1

ASPCA(米国動物虐待防止協会)による、スペイクリニックを建設する際のいわゆる「建設ガイド」 “S/N Building & Equipment Resource Guide”(以下「ガイド」)から、具体的な内装や機材について見ています。

 

Oxygen System(酸素システム)

Contact a local oxygen supplier for pricing. Note that delivery and handling fees can add to your ongoing costs. Oxygen concentrators are an alternative to tanks but are more expensive to purchase. Verify that the pressure from the concentrator is high enough to support the vaporizer on your anesthesia machine. The standard pressure for tanked oxygen is 50 psi.

価格については、お近くの酸素供給業者にお問い合わせください。なお、配送料や取扱手数料がかかると、継続的なコスト増となる場合があります。酸素濃縮器はボンベの代替品ですが、購入費用が高くなります。酸素濃縮器からの圧力が、麻酔器の気化器を支えるのに十分な高さであることを確認してください。ボンベ式酸素の標準圧力は50psiです。

 

【のらぬこの解説】

スペイクリニックには麻酔器が必須です。避妊去勢手術程度の手術であれば、ケタミンなどの注射麻酔薬をうまく使えば吸入麻酔を用いることなく全身麻酔が可能で、米国では野良猫の避妊去勢手術にこの手法が用いられたりもしますが、注射麻酔は麻酔のコントロールが難しいなどのデメリットがあるので、通常は吸入麻酔が用いられます。

 

一般的に吸入麻酔の際には、酸素に吸入麻酔薬を混ぜて患者に吸わせます。ですので、麻酔器に酸素を供給する何らかの手段が必要です。酸素の供給源としては「酸素ボンベ」と「酸素濃縮器」の2種類があります。酸素濃縮器とは、空気の中から酸素を取り出し高純度の酸素を生成する装置です。都度ボンベを購入する手間が省け、またボンベの残量を気にする必要もないため非常に便利に感じますが、機器自体が非常に高価です。そのため、スペイクリニックでは酸素ボンベを使うことが多いと思います。

 

There are two types of oxygen tanks:(酸素ボンベの2つのタイプ)

‣ “E” tanks are smaller tanks that hook directly to the anesthesia machines. These are less efficient; smaller tanks= more turnover = more deliveries. We suggest 6 at a time.

‣ “H” tanks are larger and more economical. We suggest 4 at a time.

・「E」ボンベは、麻酔機に直接引っ掛ける小さなボンベです。これらは効率が低くなります:小さなボンベ=すぐに無くなる=より多くの配達。一度に6本注文することをお勧めします。

・「H」ボンベはより大きく、より経済的です。 一度に4本注文することをお勧めします。

 

【のらぬこの解説】

日本では500リットル(院内用:「E」ボンベに相当)、1500リットル(院内用)、7000リットル(院内据え置き用:「H」ボンベに相当)のタンクが一般的のようです。