「ASVガイドライン2022」の適用範囲

ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※ (アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)について見ています。

 

「シェルター」の定義

「ガイドライン」によると、「シェルター」は次の4つに分類されます。(p1)

 

foster-based rescues(里親主体の動物保護グループ)…シェルターに収容するというよりも、「里親」(預かりボランティア)が自宅等で動物を預かるような草の根の活動を指します。日本における民間の動物保護活動に多い形態です。

 

nonprofit humane societies and SPCAs(非営利のHSおよびSPCA)…米国の動物保護団体の多くが「humane society(人道協会:HS)」または「SPCA(動物虐待防止協会)」を冠しています。ここで注意が必要なのは、これらは必ずしもHSUS(米国人道協会)やASPCA(米国動物虐待防止協会)の下部組織であるとは限らないということです。サンフランシスコSPCAのように潤沢な資金と多数のスタッフを抱える巨大組織から、限りなく草の根に近いものまで様々です。

 

municipal animal services facilities(自治体の動物担当部局の施設)…自治体が設置しているアニマルシェルターを指します。

 

hybrid organizations(複合組織)…民営だが自治体の業務を請け負っているなど、分類不能のシェルターがここに含まれます。

 

「ガイドライン」の適用範囲

「ガイドライン」はシェルターだけではなく、コンパニオンアニマルを集団で扱うあらゆる組織に適用されるとしています(p1)。具体的には、

 

・companion animal sanctuaries(コンパニオンアニマルのサンクチュアリ:保護動物を終生飼養する施設)

・cat cafés(猫カフェ)

・vet clinics(動物病院)

・pet stores(ペットショップ)

・dog breeding operations(犬の繁殖業者)

・research facilities (including universities)(大学を含む研究施設)

・service, military, or sporting dog organizations(使役犬、軍用犬、競技犬の団体)

などが含まれます。

 

また「ガイドライン」においてpersonnel(職員)とは、有給・無給、または常勤・パートタイム勤務を問わず、シェルター等において動物のケアに従事するすべての人を指します。(p1)

 

対象となる動物

「ガイドライン」は犬と猫を対象にしますが、その他の動物についてはその動物の特性を考慮したうえで準用するとしています。(p1)

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022