2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※ (アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)の前文について簡単に見ていきましたが、いよいよ本文に入っていきたいと思います。その前に、まず全体の13項目を概観しておきます。
1. Management and Record Keeping(管理と記録保持)
シェルターの運営管理や収容動物についての記録方法などについて述べられています。
2. Population Management(個体群管理)
シェルターの収容能力を把握した上で、収容能力を超える数の動物を収容しないために個体数を管理する方法について述べられています。
3. Animal Handling(動物の取り扱い)
基本的な動物の扱い方について述べられています。
4. Facilities(設備)
シェルターが備えるべき施設のあり方について述べられています。
5. Sanitation(衛生)
シェルターの衛生管理、特に感染症対策について述べられています。
6. Medical Health(医療健康)
ワクチン接種や栄養管理など、シェルターにおける獣医療について述べられています。
7. Shelter Surgery(シェルター手術)
避妊去勢手術など、シェルターで実施される外科手術について述べられています。
8. Forensics(法医学)
シェルターにおける法獣医学調査の手順について述べられています。
9. Behavior and Mental Well-being(行動とメンタルヘルス)
収容動物の行動評価と行動管理について述べられています。
10. Euthanasia(安楽殺)
収容動物の安楽殺や、そこに至る決定プロセスについて述べられています。
11. Animal Transport and Relocation Programs(動物の輸送および移動)
他のシェルター等に動物を移送する際の手順について述べられています。
12. Disaster Response(災害対応)
地域で災害が発生した場合の、シェルターの役割と機能について述べられています。
13. Public Health(公衆衛生)
人の健康の観点から、保護動物由来の人獣共通感染症の予防について述べられています。
シェルターメディスンに関心のある方には、もちろん「ガイドライン」を通読することをお勧めしますが、とにかく長いので、ここでは各項目の「禁止事項」「必須事項」「推奨事項」「理想事項」に絞って、私がツッコミを入れながらご紹介していきたいと思います。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022