2022年に改訂された、ASV（シェルター獣医師会）の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※ （アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」）から、シェルターの運営体制について見ています。
1.2 Management structure（管理体制）
Shelters must have a clearly defined organizational structure that outlines accountability, responsibility, and authority for management decisions.
シェルターは、運営判断のための説明責任、責任、権限の概要を明確に定義した組織構造を持たなければならない。(p5)
This organizational structure must be communicated to all staff and volunteers.
この組織体制は、すべてのスタッフとボランティアに伝えられなければならない。(p5)
Lines of authority, responsibility, and supervision should be in writing, reviewed periodically, and updated when roles change.
権限、責任、監督の系統は文書化し、定期的に見直し、役割の変更時には更新するべきである。(p5)
Decision-making must take into account resource allocation as well as population and individual animal health and welfare.
意思決定は、資源の配分だけでなく、集団や個々の動物の健康と福祉を考慮しなければならない。(p5)
Authority and responsibility for tasks and decision-making must be given only to those who have the appropriate knowledge, training, and when applicable, credentials.
業務や意思決定の権限と責任は、適切な知識、訓練、および該当する場合は資格を有する者のみに与えなければならない。(p5)
【のらぬこの解説】
本当に1人で運営されていない限り、アニマルシェルターには明確な指示命令系統が必要で、従事する全員がそれを理解していなければなりません。これは組織図で示すのが最も簡単です。シェルターの事業に関する意思決定はその事項に関する知識や経験がある人が行ってもよいですが、獣医療に関する事項（特に法的に「獣医療」に該当する決定事項）については獣医師が行う必要があります。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022