2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※ (アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、シェルターの記録について見ています。
1.5 Record keeping and animal identification(記録保持と個体識別)
Shelters must adhere to the elements of record-keeping defined within regulatory requirements.
シェルターは、規制要件の中で定義された記録保持の要素を遵守しなければならない。(p6)
No matter the system used, each animal must have a unique identifier and individual record.
システムを問わず、各動物は固有の識別子を付し、個別に記録しなければならない。(p6)
Given the wide availability of technology, digital systems should be used for record keeping, preferably software systems designed for animal shelters.
技術が広く利用可能であることを考えると、記録はデジタルで保持すべきであり、できるだけアニマルシェルター用に設計されたソフトウェアを使用すべきである。(p6)
The software system used by a shelter should be able to generate basic population level reports as well as individual animal records.
シェルターが使用するソフトウェアは、個々の動物の記録だけでなく、基本的な群単位のレポートを作成することができることが求められる。(p6)
【のらぬこの解説】
アニマルシェルターに限らず、コンパニオンアニマルを扱う施設においては、収容動物についての情報を個体ごとに管理する必要があります。どのような情報を管理するかについては、「法的に管理すべき情報」と「追加情報としてシェルターが定める情報」の2種類があります。後者については次回に説明するとして、前者は法規制に基づくものですので、順守する必要があります。
例えば日本では、10頭以上の犬や猫を譲渡目的で飼養する非営利施設(第二種動物取扱業届出施設)の場合、①品種等、②繁殖者名等、③生年月日、④所有日、⑤入手先、⑥譲渡し日、⑦譲渡し先、⑧情報提供の実施状況、⑨死亡した場合には死亡日、⑩死亡原因について個体ごとに記録し、5年間保存しなければなりません。
米国には、アニマルシェルターにおける個体管理や群管理に特化したソフトウェアがいくつか存在しますので、「ガイドライン」ではそれらのソフトウェアを使用するよう奨励されています。日本ではエクセル等の表計算ソフトなどを用いることが多いと思います。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022