2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※ (アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの受入れ計画について見ていきます。
2.3.1 Admission planning(受入れ計画)
When appropriate, admission policies should prioritize retention over shelter intake.
適切な場合には、受入れ方針は、シェルターへの収容よりも保持を優先すべきである。(p9)
Decisions about intake must consider whether admission is the best option for the animal or their situation.
受入れの判断に際しては、その動物やその状況にとって受入れが最善の選択であるかどうかを考慮しなければならない。(p9)
Admission must be balanced with the ability to provide appropriate outcomes, minimize LOS, and ensure the shelter remains within its capacity for care.
受入れに際しては、適切な結果を提供し、LOSを最小限に抑え、シェルターがケア能力の範囲内にとどまることを確実にする能力とのバランスをとらなければならない。(p9)
Population management begins prior to admission: an animal must only be admitted if the shelter can provide the care they require.
個体群管理は受入れ前から始まっている:シェルターが必要なケアを提供できる場合にのみ、動物を受入れなければならない。(p9)
Organizations that are impacted by unpredicted intakes (e.g. disasters and large-scale investigations) must have a plan to flex their operations to increase their capacity for care.
予期せぬ受入れの影響を受ける組織(災害や大規模捜査など)は、ケア能力を高めるために業務を柔軟に変更する計画を立てなければならない。(p9)
【のらぬこの解説】
アニマルシェルターに動物を受入れる際の原則は「その動物主体に考える」ことと「ケア能力を超えない」ことです。つまり、受入れがその動物にとって最善な選択であり、かつその動物に適切なケアが提供できる場合にのみ受入れる必要があります。
シェルターへの収容が常に「最善」とは限りません。例えば幼齢の子猫は、感染症のリスクを考えるとシェルターに収容するより、技術的支援を行い発見者に当面預かってもらう方がよい場合もあります。また飼い主がペットを手放そうとした場合、飼い主に適切な援助を行うことで飼い続けられるかもしれませんし、譲渡先や里親をあっせんすることにより当面の間飼ってもらうことも可能かもしれません。このように動物をシェルターに入れないようにすることを、ここでは「保持」(retention)と呼んでいます。「保持」は動物を持ち込もうとした人を説諭して追い返す「引取り拒否」とは根本的に異なります。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022