アニマルシェルターの個体群管理(11) データの監視 その1

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※ (アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける個体群データの監視について見ていきます。

 

2.4 Monitoring population data(個体群データの監視)

At a minimum, shelters must track monthly intake and outcome type for each species by age group.

少なくとも、シェルターは年齢層ごとに、毎月の受入れと結果の種類を記録しなければならない。(p10)

 

Data collection should include information about health and behavior status at intake and outcome. 

データ収集には、受入れ時と結果時の健康状態や行動に関する情報を含めるべきである。(p10)

 

LOS data, broken down by age category, species, status, and location, should be regularly analyzed to identify bottlenecks, mismatched resources, and capacity for care concerns. (p10)

年齢区分、種、状態、場所ごとに分類されたLOSデータを定期的に分析し、ボトルネック、資源の不一致、ケアのための能力に関する懸念を特定すべきである。(p11-12)

 

Population level data should be reviewed and analyzed regularly to ensure that operations align with the organization’s goals, purpose, and policies. 

個体群レベルのデータを定期的に見直して分析し、運用が組織の目標、目的、および方針に沿っていることを確認すべきである。(p12)

 

【のらぬこの解説】

動物を受け入れる際、毎日の巡回の際、また返還や譲渡といった「結果」の際など、アニマルシェルターには収容動物に関する様々なデータが収集されます。シェルターにおけるデータの記録は電磁的手段によることが推奨されています。例えばシェルター管理に特化したソフトウェアや、汎用の表計算ソフトウェアといったものです。そういったソフトウェアを用いれば、シェルター全体の集計も簡単に行うことができます。そういった集計は、活動実績の精査や組織目標の管理などにも用いられますが、最大の目的は収容動物の福祉が担保されていることを確認すること、また問題点を炙り出して現場にフィードバックすることであるといえます。動物の受入れや結果が妥当なものであったか、収容中に動物の健康状態が悪化しなかったか、またLOS(滞在期間)が不必要に延長されていないかなど、データを分析すると様々なものが見えてきます。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022