2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける動物の取り扱いについて見ています。
3.3 Handling equipment(取扱い器具)
A variety of humane equipment that facilitates animal handling with minimal or no hands-on contact must be available.
最小限の、またはまったく接触することなく動物の取り扱いを容易にするさまざまな人道的な器具が利用可能でなければならない。(p13)
【のらぬこの解説】
動物を取り扱う際には、極力動物に触れないことが望ましいといえます。例えば猫を別の部屋に移動させるときに、スタッフが手で抱いて運ぶよりも、キャリーケースに入れて運ぶ方が逸走の危険性や動物のストレスを軽減させることができます。アニマルシェルターには状況に応じて使い分けができるよう、できるだけたくさんの種類の取り扱い器具を用意する必要があります。「ガイドライン」では様々な取り扱い器具が紹介されています。
<犬・猫とも使用可能>
Live trap(捕獲器)…猫のTNRでおなじみの捕獲器です。周りが格子になっているため、中に入れたまま注射等の処置をするのに便利です。
Trap divider…捕獲器に差し込んで中の動物を保定する櫛のような器具。
Transport carrier(移動用キャリーケース)…一般的なペット用キャリーケースです。
cat den…feral denともいいます。野良猫用に設計された小型キャリーケースです。そのまま外囲いに入れれば猫のねぐらとしても使えるすぐれものです。一般のキャリーケースで代用することもできます。
Towel/blanket(タオルや毛布)…タオルや毛布などで包み込むのもアリです。
Squeeze cage…中仕切りを移動させ、動物を保定することができるケージです。捕獲器と同様、周りが格子になっています。
Purpose designed protective gloves(使用目的に合わせて設計された保護手袋)…厚さや長さなど様々な手袋があるので、使い分ける必要があります。
Press gate/panel/cage shield(防御盾)…動物用に設計された防御盾は透明樹脂製で、押さえつけてそのまま注射が打てるよう、穴がたくさん開いています。
Syringe pole(シリンジポール)…先端に注射器が付いた棒です。動物に近づくことなく筋肉注射を打つことができます。
(続く)
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022