動物の取り扱い(4) 取り扱い器具 その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける動物の取り扱いについて見ています。

 

3.3 Handling equipment(取扱い器具) ※続き

 

【のらぬこの解説】

<犬には使用可能、猫は状況に応じて使用>

Rolling transport kennel…車輪が付いた大型キャリーケースです。一般的に中型~大型犬用です。

Muzzle(口輪)…犬用は口だけを覆うもの、猫用は顔全体を覆うものが多いようです。

Vision blocking device(視界を遮る器具)…例えばcalming cap(目隠し)やエリザベスカラーなど。

<犬も猫も状況に応じて使用>

Capture net(捕獲ネット)…普通の平型ネット(floor net)や、猫を挟み込む専用ネット(cat nabber)などがあります。

 

<猫には使用不可>

Flexible snare…直訳すると「弾力性のあるくくりわな」です。弾力性のある素材で、犬に近づくことなく首に引っかけて保定する器具です。見た目はバイオリンの弓に似ています。中~大型犬専用で、小型犬や猫には使用不可です。

Control pole…棒の先に伸縮可能なワイヤーが付いている器具で、ワイヤーを犬の首に引っかけて締めることにより保定します。中~大型犬専用で、小型犬や猫には使用不可です。米国発祥で、米国ではよく用いられている保定具のため、「ガイドライン」には特に使用にあたっての注意事項が記載されています。

 

Control poleの使用上の注意

Control poles must only be used when alternatives for handling dogs are insufficient to protect human safety. 

コントロールポールは、犬を取り扱うための代替手段が人の安全を守るのに不十分な場合にのみ使用されなければならない。(p13)

 

Because control poles can cause significant injury and even death, it is unacceptable to use control poles on cats or small dogs. 

コントロールポールは重大な怪我や死亡につながる可能性があるため、猫や小型犬にコントロールポールを使用することは許されない。(p13)

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022