2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ていきましょう。
4. Facilities(施設)
4.1 General(一般事項)
The shelter facility must include sufficient space to allow for the execution of essential shelter operations and programs as required by mission or mandate.
シェルターの施設は、使命や義務によって必要とされる基本的なシェルター運営や事業の実行を可能にする十分なスペースを含んでいなければならない。(p14)
Both the quantity and design of housing must be appropriate for the species, the number of animals receiving care, and the expected length of stay.
住居の数と設計は、飼育する動物の種類、飼育する動物の数、予想される滞在期間に適したものでなければならない。(p14)
Facility design and use must provide for proper separation of animals by species, predator/prey status, health status, and behavior.
施設の設計と使用の際には、動物種、捕食者/被食者の状態、健康状態、および行動によって動物を適切に分離しなければならない。(p14)
Housing in foster care should meet or exceed the guidelines for in-shelter housing.
預かりボランティアの住居は、シェルター内の住居のガイドラインを満たすか、それ以上であるべきである。(p14)
【のらぬこの解説】
感染症やストレスのリスクから、アニマルシェルターには極力動物を収容しない方がよいというのがシェルターメディスンの基本的な考え方です。ですので、シェルターと契約している預かりボランティアや、預かりボランティア主体の動物保護団体(レスキューグループ)を最大限に活用することが望ましいといえます。しかし特別なケアが必要な動物や、人馴れしていない動物など、シェルターを必要とする動物が存在することも事実です。この章では動物に直接触れるprimary enclosure(外囲い)を中心に、シェルターで動物を収容する際に最低限必要な施設について述べられています。ちなみに日本の動物愛護法で定められている、動物取扱業の順守基準と重なる部分がかなりありますので、環境省の「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~」と併せて読んでいただくと、理解がさらに深まると思います。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022