アニマルシェルターの施設(2) 外囲い その1

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。

 

4.2 Primary enclosures(外囲い)

Shelters must have a variety of housing units available to meet the individual needs of animals, including physical, behavioral, and medical needs. 

シェルターには、身体的、行動的、医療的ニーズなど、動物の個々のニーズを満たすために利用できるさまざまな収容ユニットを備えなければならない(p14)。

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターは動物を収容する場所ですので、動物の収容ユニットが必要です。「動物の個々のニーズ」は様々ですので、それに対応できるような様々な収容ユニットが必要です。「動物の個々のニーズ」は動物種、成長過程、性格、人馴れの有無、出自(元ペットか野良か)などによって異なります。

動物の収容ユニットのうち、動物から見て「最初の」囲い、つまり動物に直接触れる囲いのことをprimary enclosureといいます。その中には、移動用キャリーケースや捕獲器などの「取り扱い器具」は含まれません。そう言うと、犬猫用のケージや檻をまず連想されるかもしれませんが、部屋の中に猫を放し飼いにするとすればその部屋がprimary enclosureですし、小動物を水槽で飼う場合は水槽がprimary enclosureです。primary enclosureは「一次囲い」と訳すのが正確かもしれませんが、じゃ「二次囲い」や「三次囲い」もあるのかということにもなりますので、ここではシンプルに「外囲い」と訳しておきます。ちなみに日本の動物愛護法では「ケージ等」と表現されています。

 

外囲いの一般注意事項

 

けがをしない構造

The primary enclosure must be structurally sound and maintained in safe, working condition to prevent injury and escape. 

外囲いは構造的に健全で、けがや逃亡を防ぐために安全で作動する状態に維持されなければならない。(p14)

 

【のらぬこの解説】

外囲いに割れや破れなどの破損があると、中の動物がけがをするおそれがありますし、破損部分から逸走のおそれもあります。

 

(続く)

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022