アニマルシェルターの施設(3) 外囲い その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。

 

4.2 Primary enclosures(外囲い) ※続き

 

床の構造

Primary enclosures with wire-mesh bottoms or slatted floors are unacceptable because they can cause pain, discomfort, and injury. 

金網の底やすのこ状の床を備えた外囲いは、痛み、不快感、けがの原因となるため、使用は許されない。(p14)

 

【のらぬこの解説】

床が金網やすのこになっていると掃除は楽ですが、肉球が床に触れる際に不快ですし、肉球を傷つける可能性もありますから、少なくとも犬や猫の外囲いとしては不適切です。

 

取り扱い器具を使わない

The use of cages or crates intended for short-term, temporary confinement or travel is also unacceptable as primary enclosures. 

短期間、一時的な収容または移動を目的としたケージまたはクレートの使用も、外囲いとしての使用は許されない。(p14)

 

【のらぬこの解説】

一時収容や移動を目的とした、「取り扱い器具」に該当するような狭いケージやクレートは、一定期間の収容を前提とした外囲いとして使用してはいけません。使用できないものとして「ガイドライン」ではairline crates(空輸用クレート)、transport carriers(輸送用キャリーケース)、 live traps(捕獲器)、 wire crates(四方が檻の小型ペットケージ)が例示されています。

 

相互汚染の防止

It is unacceptable to stack or arrange enclosures in a manner that increases animal stress and discomfort, compromises ventilation, or allows for waste material contamination between housing units.

動物のストレスや不快感を増大させたり、換気を妨げたり、収容ユニット間で汚物による相互汚染が生じるような方法で囲いを積み重ねたり配置したりすることは許されない。(p14)

 

【のらぬこの解説】

簡単に転倒したり、汚物が上から落ちてくるような形で外囲いを重ねたり、不安定な場所に外囲いを置いてはなりません。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022