アニマルシェルターの施設(5) 外囲いのサイズ その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。

 

猫の外囲いのサイズ

Individual adult cat housing that is less than 8 ft2 (0.75 m2) of floor space is unacceptable. 

床面積が 8平方フィート (0.75 平方メートル) 未満の成猫の個別飼育は許されない。(p14)

 

Ideally, individual cat housing provides 11 ft2 (1.0 m2) or more of floor space. 

個々の猫用住居は 11平方フィート(1.0 平方メートル) 以上の床面積が望ましい。

 

Cat housing units should be elevated off the floor. 

猫用住居ユニットは、床から高い位置に設置するべきである。(p14)

 

Cat cages should face away from each other or be spaced more than 4 ft (1.2 m) apart to prevent droplet transmission of respiratory pathogens while sneezing, coughing, or vocalizing.

くしゃみ、咳、または発声中の呼吸器病原体の飛沫感染を防ぐために、猫用ケージは互いに反対向きにするか、4 フィート (1.2 m) 以上離して配置するべきである。(p14)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターに猫を収容する際に狭いケージに入れることは、猫のストレスを増大させ、結果的に上気道感染症(猫かぜ)の発症リスクを高めます。ですので、十分な面積を確保することが必要です。猫は高い場所を好むため、平屋の住居は床から持ち上げることが望ましいです。高さについての基準はありませんが、80~90cmくらいのことが多いようです。縦長の住居であれば、高い位置に休息場所を設けるとよいでしょう。

 

犬の外囲いのサイズ

 

【のらぬこの解説】

犬は犬種によって体の大きさが異なるため、「ガイドライン」では一律の数値基準は設けられていません。「普通に立って座って横になれること」「餌場とトイレの間に十分な距離を保つことができること」という基本に基づいて外囲いのサイズを決定することになります。なお主要先進国においては、犬の外囲いのサイズが国や州の法令やガイドラインで定められていて、日本も例外ではありません。日本においては第一種および第二種動物取扱業に該当する場合にのみ適用されますが、犬の体長や体高によって「ケージ等」の大きさが細かく定められています。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022