2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。
4.2.3 Additional considerations(その他の考慮事項)
長期収容動物への配慮
Housing that provides animals with additional space, enrichment, and choice within their enclosure must be provided for animals remaining in the shelter long-term (i.e. more than 2 weeks).
シェルターに長期 (つまり 2 週間以上) 滞在する動物には、囲いの中で追加のスペース、エンリッチメント、選択肢を動物に提供する住居を提供しなければならない。(p15)
【のらぬこの解説】
遺失物法に基づく保管期間や、治療が長引くなどの理由により動物の長期収容が必要な場合には、様々な配慮が必要です。場合によっては、預かりボランティアに託した方がよいかもしれません。
人慣れしていない動物の収容
It is unacceptable to house animals in an enclosure that would require the use of forceful animal handling equipment for daily cleaning and care (see Animal Handling).
毎日の清掃や手入れに、強制的な動物取扱い器具の使用が必要となるような囲いの中で動物を飼育することは許されない(「動物の取扱い」を参照)。(p15)
【のらぬこの解説】
人慣れしていない動物の住居を清掃するたびに、強制的につまみ出すような取り扱いは厳禁です。複数居室の住居を用いるか、移動用のキャリーケースを用いるなどの工夫が必要です。
専用施設の使用
Except for a brief, emergency situation, it is unacceptable to house animals in facility spaces not intended for animal housing (e.g. bathrooms and hallways).
緊急事態を除いて、動物の収容を意図していない施設スペース (トイレや廊下など) に動物を収容することは許されない。(p16)
【のらぬこの解説】
飼育室としての要件を満たし、必要に応じて飼育室に転用できるような多目的スペース(会議室やイベントルーム)を設けているシェルターもあります。
係留の禁止
Tethering is an unacceptable method of confinement for any animal.
係留は、どの動物にも許されない拘束方法である。(p16)
【のらぬこの解説】
「ガイドライン」では、たとえ外囲いの清掃中の間だけであっても、動物を係留することは避けるべきであるとしています。代替案としては、散歩を清掃時間に合わせる、または清掃中は運動場で遊ばせるなどの方法が考えられます。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022