アニマルシェルターの施設(10) 集合飼育する動物の選択

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。

 

4.3.2 Selecting animals for cohousing(集合飼育する動物の選択)

Random cohousing of animals in shelters is an unacceptable practice.

シェルターで動物を無作為に集合飼育することは許されない。(p17)

 

Unrelated or unfamiliar animals must not be cohoused until health and behavior are assessed.

健康と行動が評価されるまで、無関係または慣れていない動物を集合飼育してはならない。(p17)

 

Regardless of the size of the enclosure, no more than six adult cats should be cohoused in a primary enclosure. 

囲いの大きさにかかわらず、外囲いの中に6頭以上の成猫を同居させるべきではない。(p17)

 

When cohousing is indicated, pairs are preferred for dogs to maximize safety and biosecurity, and no more than two to four adult dogs should be cohoused in a primary enclosure. 

集合飼育が必要な場合、安全性とバイオセキュリティを最大限に高めるため、犬はペアが望ましく、外囲いの中で同居させる成犬は2~4頭までとすべきである。(p17)

 

Because of their susceptibility to infectious disease, puppies and kittens under 20 weeks of age must not be cohoused with unfamiliar animals except when the benefits outweigh the risks for all animals involved. 

感染症にかかりやすいため、生後 20 週未満の子犬と子猫は、関係するすべての動物にとっての利点がリスクを上回る場合を除き、なじみのない動物と同居させてはならない。(p17)

 

Dogs should be introduced outside of their primary enclosures in pairs or groups to determine compatibility prior to cohousing.

犬は同居させる前に、ペアまたはグループで、本来の外囲いの外で犬を紹介し、相性を判断するべきである。(p17)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターの都合で、無作為に多数の動物を同じ囲いに収容することは許されません。集合飼育の際には、個体同士の相性や健康状態などを十分に評価し、同種交流によるメリットを享受できる必要最低限の頭数で行う必要があります。大規模のグループは感染症やけんかなどの管理が困難だからです。感染症のリスクから、幼齢個体は母親や同腹仔以外と同居させるべきではありませんが、何らかの事情で1匹だけになってしまった場合は、他の同腹仔や代理母と同居させることもあります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022