アニマルシェルターの施設(11) 集合飼育動物の監視

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。

 

4.3.2 Selecting animals for cohousing(集合飼育する動物の選択) ※続き

In addition, turnover within groups must be minimized to reduce stress and social conflicts as well as the risk of infectious disease exposure and transmission.

さらに、ストレスや社会的葛藤、感染症の曝露・伝播のリスクを軽減するため、グループ内の入れ替えを最小限に抑えなければならない。(p17)

 

【のらぬこの解説】

集合飼育においては管理上の理由から、同居する動物を頻繁に入れ替えることは推奨されません。また同居させる動物は必要最小限の個体数にする必要があります。

 

4.3.3 Monitoring cohoused animals(集合飼育動物の監視)

Individual animals and group dynamics must be monitored to recognize signs of stress and social conflicts in cohousing enclosures. 

同居中のストレスや社会的葛藤の兆候を把握するため、個々の動物や集団の動態を監視しなければならない。(p17)

 

Individual enriched housing must be provided for animals who are fearful or behave aggressively toward other animals, are stressed by the presence of other animals, require individual monitoring, or are ill and require treatment that cannot be provided in cohousing. 

他の動物に対して恐怖心や攻撃的な行動をとる動物、他の動物の存在にストレスを感じる動物、個別の監視が必要な動物、病気で同居では提供できない治療が必要な動物には、個別の豊かな住居を提供しなければならない。(p17)

 

Cohousing animals who fight with one another is unacceptable.

互いに争う動物を同居させることは許されない。(p17)

 

【のらぬこの解説】

集合飼育の場合、特に新入りの動物がいじめられていないか、平等に食事が行き渡っているかなどについては、注意深く観察するする必要があります。定期的な身体検査も有効です。日常の監視の中で、集合飼育に向かない個体を発見した際には、速やかに個別飼育に切り替える必要があります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022