アニマルシェルターの施設(12) 隔離室 その1

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。

 

4.4 Isolation housing(隔離室)

Shelters must have a means of isolating infectious animals from the general population to prevent the spread of infectious disease. 

シェルターには、感染症の蔓延を防ぐために、感染した動物を一般集団から隔離する手段が必要である。(p17)

 

Isolation housing must meet the medical and behavioral needs of ill animals, including being of sufficient size with appropriate set-up. 

隔離室は、適切な設備を備えた十分な大きさであることを含め、病気の動物の医学的および行動上のニーズを満たすものでなければならない。(p17)

 

Different species must not be housed within the same isolation room.

異なる動物種を同じ隔離室に収容してはならない。(p17)

 

Separate isolation areas must be provided for animals with different highly contagious diseases to prevent coinfections with multiple pathogens. 

複数の病原体による同時感染を防ぐために、さまざまな伝染性の高い病気の動物に個別の隔離エリアを提供しなければならない。(p17)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターに収容された動物に感染症の症状がある場合、他の動物と隔離するための部屋が必要です。隔離室は動物種ごとに必要で、一般的なシェルターであれば少なくとも犬用と猫用が必要です。隔離室内のケージは移動式のものを用い、消毒が容易な金属製のものが望ましいといえます。移動式のケージを用いると、感染性が強い異なる感染症に罹患した動物同士を分離することができ、重複感染を防止することができます。例えば同じ隔離室にパルボウイルス感染症の犬とケンネルコフの犬を離れた場所に置くことが可能になります(もちろん別の部屋を用意することができれば、それに越したことはありませんが)。すでに複数の感染症に罹患している動物、例えば皮膚糸状菌症と猫かぜに罹患している猫などについては、隔離方法について獣医師の意見を求めるべきです。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022