2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。
4.4 Isolation housing(隔離室) ※続き
To avoid exposure of healthy animals to sick animals, isolation rooms must be designed so that they do not open directly into another animal housing area.
健康な動物と病気の動物が接触するのを避けるため、隔離室は他の動物飼育区域に直接開かないように設計しなければならない。(p17)
Isolation rooms should have access to a sink for handwashing and be set up with space for treatments, examinations, and storage for dedicated supplies.
隔離室には手洗い用の流し台があり、治療、検査、および専用備品の保管のためのスペースが設置されるべきである。(p17)
Isolation rooms must be clearly labeled to indicate current use and necessary precautions.
隔離室には、現在の使用状況と必要な予防措置を明確に表示しなければならない。(p17)
Human and animal traffic through isolation spaces should be limited.
隔離スペースを通る人や動物の往来は制限するべきである。(p17)
Ideally, isolation rooms are designed with windows to allow observation of animals from a corridor without needing to repeatedly enter the room.
隔離室には窓があり、何度も部屋に入る必要がなく、廊下から動物を観察できるように設計されることが望ましい。(p18)
【のらぬこの解説】
隔離室に入る人は制限され、入る際にはPPE(個人防護具)を着用すべきです。隔離室には手洗い設備が必須です。隔離室には頻繁に出入りしないことが望ましいですから、窓を通して外から中の様子をうかがえるような構造が理想です。
なお隔離室を設けることができない場合、感染症の犬は健康な犬から少なくとも25 フィート (7.6 m) 離して収容し、囲いのドアを覆うことにより一時的に隔離することができます。感染症の猫の場合、同じ部屋であっても別の囲いに収容すれば一時しのぎにはなります。これはケンネルコフ(犬かぜ)と猫上気道感染症(猫かぜ)の感染様式の違いです。いずれの場合も、隔離室に収容するほどの感染防止効果は期待できません。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022