アニマルシェルターの施設(15) 床面と排水 その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。

 

4.5 Surfaces and drainage(床面と排水) ※続き

Drainage systems must be designed to prevent standing water and cross-contamination of waste between housing units. 

排水システムは、水が滞留し、住居ユニット間で廃棄物が二次汚染されないように設計されていなければならない。(p18)

 

To aid in this effort, floors should be gently sloped to enable waste and water to run into the drains, particularly in animal housing areas. 

そのために、特に動物の飼育スペースでは、排泄物や水が排水溝に流れ込むように床を緩やかに傾斜させるべきである。(p18)

 

Drain covers must be designed to prevent injury or escape and should be easily removable for routine cleaning. 

排水カバーは、けがや逸走を防ぐように設計されていなければならず、定期的な清掃のために簡単に取り外しできる構造であるべきである。(p18)

 

Similarly, outdoor primary enclosures or portions of primary enclosures that are outdoors must have nonporous, durable floors that allow for sanitation and proper drainage.

同様に、屋外の外囲いまたは屋外の外囲いの一部は、衛生と適切な排水を可能にする非浸透性で耐久性のある床でなければならない。(p18)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルター内において日常的に流水による洗浄や消毒が実施される、例えば犬の外囲いやふれあい室、屋内運動場といった場所には、排水口または排水溝が備えられていなければ、清掃の都度モップで水を吸い出さなければなりません。また水分が残ってしまうと病原微生物の温床になりかねません。特に犬の外囲いには排水口または排水溝が必須とされています。排水を容易にするため、床を軽く傾斜させておくと管理が楽です。

 

シェルター内の感染症予防の観点からは、適切に設置され、定期的に清掃され、正常に機能してさえいれば、排水口と排水溝のどちらでもかまいません。ただしどちらにしても、動物のけがや逸走を防ぐことができ、かつメンテナンスが容易なカバーが必要です。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022