2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。
4.6 Heating, ventilation, and air quality(暖房、換気、および空気の質)
室温と湿度
To ensure humane and comfortable conditions, environmental temperature must be maintained between 64°F (18°C) and 80°F (26.6°C).
人道的で快適な環境を確保するため、環境温度は64°F(18℃)から80°F(26.6℃)の間に維持しなければならない。(p18)
Animals must be monitored individually to ensure the environmental temperature is comfortable, and necessary measures must be taken if an animal appears too cold or too hot.
環境温度が快適であることを確認するために動物を個別に監視し、動物が寒すぎたり暑すぎたりする場合は必要な措置を講じなければならない。(p18)
The relative humidity should be maintained between 30 and 70%.
相対湿度は 30 ~ 70% に維持すべきである。(p18)
【のらぬこの解説】
一般的に犬は寒さに強く、猫は寒さに弱いと言われますが、実はそんなに単純ではありません。犬猫ともに下毛が生えた「ダブルコート」の品種(寒い地域が原産の品種が多い)は比較的寒さに強いですが、暑さには弱いといわれています。逆に下毛を持たない「シングルコート」の品種(温かい地域が原産の品種が多い)は比較的寒さに弱いといわれています。また短頭種は熱の放出が苦手で、熱中症にかかりやすいといわれています。また年齢(幼齢か老齢か)や健康状態、ボディコンディション(肥満かやせか)などによっても、快適な温度は異なります。つまり温度は20℃前後を基本としながら、個体の状態を見ながら調節する必要があります。
温度調節の方法として、「ガイドライン」では次の方法が提案されています。
・毛布など追加の寝具の提供(寒すぎる場合)
・冷凍のおやつや氷の提供(暑すぎる場合)
・動物の移動
湿度については50%前後を基本としますが、特に気温が高い夏期においては湿度も上昇しがちで熱中症の原因となりますので注意が必要です。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022