2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの施設について見ています。
4.12 Facility design and planning(施設の設計と計画)
In order to meet the changing needs of the community and services offered by the shelter, flexibility in operational and spatial use should be incorporated into designs for remodeling and new facilities.
地域のニーズの変化やシェルターが提供するサービスに対応するため、施設の改築や新設の際には、運用や空間利用の柔軟性を設計に取り入れるべきである。(p19)
When designing a new facility or undertaking a significant renovation, shelters should consult with a shelter veterinarian and an architect experienced in shelter design.
シェルターは、新しい施設を設計したり、大幅な改修を行う場合、シェルターの設計に精通した獣医師や建築家に相談するべきである。(p19)
Shelters must avoid large warehouse type rooms when designing housing.
シェルターは、住宅を設計する際に大きな倉庫タイプの部屋を避けなければならない。(p19)
When remodeling or planning a new facility, the movement of animals, people, and supplies should be incorporated into the design.
施設の改築や新設を計画する際には、動物、人、物資の移動を設計に取り入れるべきである。(p19)
Animal shelter design should provide an environment that also serves the needs of personnel and clients.
アニマルシェルターの設計は、スタッフと来所者のニーズにも応える環境を提供するべきである。(p19)
【のらぬこの解説】
アニマルシェルターを新築または改築する場合には、シェルターの設計に詳しい人に相談したうえで、次の点について注意する必要があります。
・「運用や空間利用の柔軟性」:例えば会議室や多目的スペースを動物の飼育エリアに転用できるような設計にしておくといったことです。
・「大きな倉庫タイプの部屋を避ける」:大きな部屋に多数の外囲いを配置するのではなく、最低限の外囲いを配置した部屋をたくさん作るということです。
・「動物、人、物資の移動を設計に取り入れる」:例えば、人馴れしていない犬を収容する住居を施設の入り口近くに設置した方が、出し入れの際に楽です。
・「スタッフと来所者のニーズにも応える」:スタッフの休憩室や会議室は、スタッフのニーズに応える施設、動物とのふれあいルームや個室の相談室は、来所者のニーズに応える施設といえます。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022