アニマルシェルターの衛生(2) 衛生手順の策定

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの衛生管理について見ています。

 

5.3 Sanitation practices(衛生慣行)

 

衛生手順の策定

Shelters must have a sanitation plan for all locations in which animals are present, including enclosures, common-use areas, foster homes, and outdoor spaces. 

囲い、共用エリア、預かりボランティア宅、屋外スペースなど、動物が存在するすべての場所の衛生計画を定めなければならない。(p23)

 

Sanitation protocols should be based on pathogens, routes, and risk of transmission. 

衛生手順は、病原体、経路、および感染リスクに基づくべきである。(p23)

 

Sanitation protocols must include steps for removal of organic matter, cleaning, and disinfection. 

衛生手順には、有機物の除去、洗浄、および消毒の手順が含まれていなければならない。(p23)

 

Ideally, sanitation protocols will be developed in consultation with a veterinarian experienced in shelter medicine. 

衛生手順は、シェルターメディスンの経験豊富な獣医師と相談して作成することが望ましい。(p23)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターにおいて、感染症予防のための衛生管理は最重要事項と言っても過言ではありません。その手順については、あらかじめマニュアル化しておく必要があります。マニュアルの主な内容としては「どこを洗浄消毒すべきか」「どのような薬剤を使用するか」「薬剤の使用方法」が挙げられます。当然のことながら、マニュアルを策定する際には、一般的な消毒剤の有効成分やどのような病原体に有効か、また病原体の感染経路に精通した人に意見を仰ぐ必要があります。

 

製品の適切な使用

Sanitation products must be diluted and used according to label instructions or published recommendations. 

衛生に関する製品は、表示ラベルまたは公表されている推奨事項に従い希釈して使用しなければならない。(p23)

 

【のらぬこの解説】

消毒剤は薄めすぎると効果がなくなりますし、濃すぎると動物や人に害を与える可能性があります。薬剤の種類によっては、消毒後に薬剤を洗い流す必要があります。薬剤の表示をよく確認し、メーカー推奨の方法で使用する必要があります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022