2022年に改訂された、ASV（シェルター獣医師会）の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※（アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」）から、アニマルシェルターの衛生管理について見ています。
5.3 Sanitation practices（衛生慣行） ※続き
衛生作業の人員
Sufficient personnel must be assigned to complete sanitation tasks promptly each day so that animals spend most of their time in sanitary conditions.
動物がほとんどの時間を衛生的な状態で過ごせるように、衛生作業を毎日迅速に完了するために十分な人員を割り当てなければならない。(p24)
【のらぬこの解説】
「ガイドライン」によると、外囲いの清掃に要する時間は、動物1頭あたり最低９分間が推奨されています。もちろん実際にかかる時間はシェルターによって異なりますが、作業時間に見合った人員を確保することが重要です。
衛生作業の順番
Sanitation should proceed in an order that minimizes both the risk of pathogen transmission from infected animals and the exposure of vulnerable animals.
衛生（洗浄および消毒）は、感染した動物から病原体が伝染するリスクと脆弱な動物への曝露の両方を最小限に抑える順序で進めるべきである。(p24)
【のらぬこの解説】
衛生作業は一般的に、healthy puppies and kittens（健康な子犬と子猫）→healthy adult animals（健康な成体動物）→unhealthy animals（不健康な動物）の順で行います。
手順の順守状況の確認
Sanitation practices should be observed regularly to ensure consistency with written protocols.
文書化された手順との一貫性を確保するために、衛生慣行を定期的に観察すべきである。(p24)
【のらぬこの解説】
衛生作業の手順が順守されているかどうか、定期的に確認する必要があります。特に消毒剤の使用方法（薬剤の選択ミス、過少または過剰希釈、接触時間不足）に注意が必要です。
集団発生時の手順
During an outbreak, protocols should be reviewed and practices observed to ensure efficacy against suspected pathogens.
感染症の集団発生中は、疑わしい病原体に対する有効性を確保するために、手順を見直し、慣行を観察すべきである。(p24)
【のらぬこの解説】
感染症の集団発生時には、発生している感染症に対応した衛生手順が必要ですし、発生状況によって感染リスクは変化しますので、衛生手順は随時見直す必要があります。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022