アニマルシェルターの衛生(5) ディープクリーニング

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの衛生管理について見ています。

 

5.3.1 Sanitizing primary enclosures(外囲いの洗浄消毒)

Enclosures must be completely sanitized before being occupied by a different animal. 

囲いは、別の動物が占有する前に完全に洗浄消毒しなければならない。(p24)

 

It is unacceptable to spray primary enclosures while animals are inside them. 

動物が中にいるときに、外囲いに噴霧することは許されない。(p24)

 

Drainage systems or operational practices (e.g. squeegee and towel drying) must prevent the accumulation of standing water. 

排水システムまたは作業方法 (スクイージーやタオル乾燥など) は、滞留水が溜まらないようにしなければならない。(p24)

 

Ideally, mopping is avoided in animal housing areas. 

動物の飼育場所ではモップによる吸水を避けることが望ましい。(p24)

 

When mopping cannot be avoided, personnel must ensure that both cleaning and disinfection of the floor surface occur. 

どうしてもモップによる吸水を行わなければならない場合、職員は床面の清掃と消毒の両方を確実に実行しなければならない。(p24)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターの動物の外囲いの清掃方法には、「ディープクリーニング(deep cleaning)」と「スポットクリーニング(spot cleaning)」の2種類があります。ここでいう“sanitizing(洗浄消毒)”は前者に該当します。つまり使用済みの外囲いを、次の動物が使うことができるようしっかりと洗浄消毒することです。動物は見た目が健康であっても、病原体を排出している可能性がありますので、たとえ短期間の使用であっても、別の動物を入れる前に洗浄消毒が必要です。当然ですが、動物が中にいる状態で水や洗浄剤、消毒剤を噴霧してはいけません。

 

衛生上の理由により、洗浄消毒後は床を完全に乾燥させる必要があります。スクイージーで水を切ったのちに使い捨てタオルで拭くのが一般的です。囲い内に排水口や排水溝があり、そこから排水できればよいですが、そうでない場合、モップで水を吸い取る必要があります。使用後のモップヘッドには病原体が付着している可能性があり、そのまま他の囲いで使用すると病原体を蔓延させかねないので、やむを得ずモップを使用する場合は、使用の都度モップヘッドを交換または洗浄消毒後に乾燥させる必要があります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022