アニマルシェルターの衛生(11)  その他の場所

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの衛生管理について見ています。

 

5.5 Other shelter areas(シェルターのその他の場所)

 

靴裏の衛生

Foot traffic plays a role in fomite transmission throughout the shelter and grounds; dedicated boots that can be sanitized or disposable shoe covers should be used in potentially contaminated or protected areas, such as isolation and surgery. 

人の往来はシェルターと敷地全体で媒介物感染の原因となるため、隔離室や手術室など、汚染の可能性がある場所や保護されている場所では、消毒できる専用の履物または使い捨ての靴カバーを使用するべきである。(p26)

 

Footbaths must not be relied on for infectious disease control in the shelter.

シェルターの感染症対策に、フットバスに頼ってはならない。(p26)

 

It is unacceptable for animals to walk through footbaths.(p26)

動物にフットバスを歩かせることは許されない。(p26)

 

【のらぬこの解説】

フットバスとは温泉地でおなじみの「足湯」のことではなく、バットに消毒液を張り、そこを靴のまま踏むことで靴裏を消毒しようとするものです。フットバスは完全に管理されていれば靴裏の病原体をある程度殺すことができるかもしれませんが、何となく常設されているような管理不十分なフットバスは気休め以上の効果がない上に、かえって汚染を広げるおそれがあるため、靴裏の消毒をフットバスのみに頼ることは厳禁です。その理由は次の2つです。

 

・フットバスに踏み込む程度の作用時間は、微生物を殺すには十分ではない

・フットバスの中の消毒液は靴裏の有機物により速やかに不活化する

 

つまり管理が不十分なフットバスは、かえって病原体の蔓延を招くおそれがあるのです。パフォーマンスではなく本当に靴裏の病原体を制御したいのであれば、専用の履物や靴カバーを用いるべきです。

 

糞便等の処置

Animal waste and bodily fluids must be removed from indoor common spaces as soon as possible.

動物の排泄物や体液は、屋内の共用スペースからできるだけ早く除去しなければならない。(p26)

 

Feces must be removed from outdoor areas between animals or groups. 

動物やグループ間の屋外エリアでは、糞を取り除かなければならない。(p26)

 

【のらぬこの解説】

共用スペースや屋外スペースから排泄物や体液を除去した後は、その場所を適切に洗浄消毒すべきです。糞便はすぐに取り除くことが望ましいですが、寄生虫卵の成熟や孵化を防ぐ観点から、少なくとも1日1回は取り除く必要があります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022