アニマルシェルターの獣医療(10)  狂犬病ワクチン

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける獣医療について見ています。

 

6.4.2 Core vaccines in shelters(シェルターのコアワクチン) ※続き

 

Rabies(狂犬病)

Eligible dogs and cats should be vaccinated against rabies before leaving shelter care. 

要件を満たした犬と猫は、シェルターから離れる前に狂犬病の予防接種を受けるべきである。(p31)

 

Rabies vaccines must be administered following state and local guidelines and the most recent Compendium for Animal Rabies Prevention and Control. 

狂犬病ワクチンは、州および地域のガイドラインと動物の狂犬病の予防と管理に関する最新の概要に従って投与しなければならない。(p31)

 

【のらぬこの解説】

米国は狂犬病発生国のため、犬も猫も狂犬病ワクチンがコアワクチンとされています。日本では、犬は「狂犬病予防法」の規定に基づき狂犬病ワクチンを接種しなければなりませんが、猫に接種義務はありません。詳細については条文を読んでいただくとして、ポイントだけを述べると次のとおりです。

 

・生後91日齢以上の犬は、収容後30日以内に市区町村への登録および狂犬病ワクチンの接種が必要

・生後90日齢以内に収容された犬は、90日齢に達してから30日以内に市区町村への登録および狂犬病ワクチンの接種が必要

 

ということになります。動物福祉の観点から、犬が30日以上シェルターに滞在することは好ましいことではありませんが、疾病治療や馴化などの目的で長期滞在している犬については注意が必要です。また生後90日齢以内の子犬を譲渡する際には、新しい飼い主に登録および狂犬病予防注射を確実に実施してもらう必要があります。

 

6.4.3 Noncore vaccines(非コアワクチン)

 

【のらぬこの解説】

非コアワクチン(noncore vaccines)とは、日常的な接種は推奨されないものの、獣医師の判断により接種が検討されるワクチンのことです。「ガイドライン」では、犬インフルエンザ、レプトスピラ、ライム病、猫ボルデテラ、クラミジア、猫白血病といったワクチンが「非コア」とされています。非コアワクチンは感染症のアウトブレイク時に接種されることがありますが、接種後に効果が発現するのに10~14日程度かかることに注意が必要です。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022