2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける獣医療について見ています。
6.4.4 Vaccine schedules(接種計画)
コアワクチンの接種
Adult animals must be vaccinated with core vaccines at or before intake.
成体動物は、受入時または受入前にコアワクチンを接種しなければならない。(p32)
Animals housed in shelters should be vaccinated with core vaccines even if ill or pregnant, as the individual and population risks of not vaccinating outweigh the small risk of vaccination.
シェルターに収容されている動物は、病気や妊娠中であっても、コアワクチンを接種するべきである。これは、ワクチンを接種しないことによる個体および個体群のリスクが、ワクチン接種のわずかなリスクを上回るからである。(p32)
【のらぬこの解説】
コアワクチンは感染症のリスクが高い場合、またアニマルシェルターに長期滞在している場合には、第1回の接種から2~4週間後に再接種することが推奨されます。また「ガイドライン」によると、外科手術の際に同時にワクチンを接種したり、複数のコアワクチンを同時に接種したとしても、効果が減退したり有害副反応の可能性が大幅に増大することはないとしています。
子犬や子猫へのコアワクチン接種
Puppies and kittens housed in shelter facilities must begin core vaccinations at or before intake starting at 4 weeks old and must be revaccinated every 2 weeks until 20 weeks old.
シェルター施設で飼育されている子犬と子猫は、生後4週齢以降は受入前にコアワクチン接種を開始し、20週齢まで2週間ごとに再接種しなければならない。(p32)
Puppies and kittens housed in foster care must begin core vaccinations at or before intake starting at 4 weeks old and must be revaccinated at the veterinarian’s discretion every 2–4 weeks until 20 weeks old.
預かりボランティアに飼育されている子犬と子猫は、生後4週齢から受入前にコアワクチン接種を開始し、20週齢まで2~4週間ごとに獣医師の裁量で再接種しなければならない。(p32)
【のらぬこの解説】
譲渡や移送のスケジュールを、ワクチン接種に合わせて遅らせることは推奨されません。接種状況を新しい飼い主と共有し、新しいかかりつけ医の判断により接種スケジュールを調整すべきです。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022