アニマルシェルターの獣医療(21)  アウトブレイクへの対応 その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける獣医療について見ています。

 

6.5.4 Outbreak response(アウトブレイクへの対応) ※続き

 

アウトブレイク中の動物の管理

During an outbreak, all at-risk animals should be monitored for signs of disease at least once a day. 

アウトブレイク中、危険にさらされているすべての動物は、少なくとも1日1回、病気の兆候がないか監視するべきである。(p34)

 

Animal care staff should be educated on the clinical signs of the disease of concern and on the process for alerting medical staff. 

動物のケアに携わるスタッフは、懸念される疾患の臨床的徴候と、医療スタッフへの警告方法について教育を受けるべきである。(p34)

 

Shelters should avoid returning recovered or exposed animals to the general population, while there is significant risk that they may transmit disease to other animals. 

シェルターは、他の動物に病気を伝播する可能性があるという重大なリスクがあるため、回復した動物や暴露された動物を一般集団に戻すことは避けるべきである。(p34)

 

【のらぬこの解説】

アウトブレイク中であっても、基本的な感染症対策は変わりありません。違う点があるとすれば、アウトブレイクの原因に合わせた対策強化の必要性と、回復した動物の取り扱いです。アウトブレイク中は、回復した動物を元の集団に戻すべきではなく、戻すのはアウトブレイク終息後となります。ちなみにアウトブレイクの終息とは、最後の感染個体が治癒してから、その病原体の潜伏期間の2倍以上の期間にわたり新規感染個体が出現しないことが目安になります。

 

感染症の報告義務の順守

Shelters must also ensure federal, state, and local laws are followed concerning reportable diseases.

またシェルターは、報告対象の疾患についての連邦、州、および地方の法律が遵守されていることを確認しなければならない。(p34)

 

【のらぬこの解説】

令和5年4月現在、日本において獣医師による届出が必要な犬や猫の感染症は次のとおりです。

・レプトスピラ症(犬) 根拠法令:家畜伝染病予防法→家畜保健衛生所に届出

・狂犬病(犬および猫) 根拠法令:狂犬病予防法→保健所に届出

・エキノコックス症(犬) 根拠法令:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律→保健所に届出

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022