アニマルシェルターの法獣医学(2)  調査方針

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける法獣医学について見ています。

 

8.3 Forensic investigation policies(法獣医学調査の方針)

 

サービスの範囲

Shelters should have a policy that outlines the scope of forensic services provided. 

シェルターは、提供できる法獣医学サービスの範囲を示す方針を持つべきである。(p41)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターが提供する法獣医学サービスは、被害動物の世話に留まることもありますし、積極的な調査に携わることもあります。どこまでの対応が可能かについては、各シェルターで方針を定めるべきです。

調査に積極的に携わるシェルターが定めておくべき事項について「ガイドライン」では次が示されています。

 

• which geographic areas are covered(管轄地域)

• which species can be investigated(対象とする動物種)

• where forensic exams are performed(検査の実施場所)

• who performs forensic exams(検査の実施者)

• how animals and other evidence are held(動物やその他の証拠の保管方法)

 

対応方針については、管轄自治体や協力団体と共有しておくと、もしもの時にスムーズです。

 

法的手続きの理解

Those investigating a suspected case of animal abuse or neglect must first ensure that they have the legal right (e.g. seizure, warrant, or owner consent) to examine, treat, and document the condition of the animal or scene.

動物の虐待またはネグレクトの疑いのある事例を調査する人は、まず、動物または現場の状態を調べ、治療し、記録する法的権利 (押収、令状、または所有者の同意など) を持っていることを確認しなければならない。(p41)

 

【のらぬこの解説】

法獣医学的調査に携わる人は、法的手続きについて十分に理解しておく必要があります。特に証拠の保管手法に瑕疵があると、その後の裁判に影響を与えます。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022