アニマルシェルターの行動学(4)  環境管理

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける動物の行動学とメンタルヘルスについて見ています。

 

9.4 Environmental management(環境管理)

Shelters must have policies and protocols for managing the environment in a manner that supports animal mental health and well-being.

シェルターは、動物のメンタルヘルスとwell-beingをサポートする方法で環境を管理するための方針と手順を備えなければならない。(p45)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターの環境管理には、犬や猫の感覚と認知が環境の認識にどのように寄与しているかを理解することが不可欠です。

 

9.4.1 Housing(住居)

 

野生動物の収容の禁止

Feral animals must not be housed in the shelter except for a brief period of time related to the delivery of veterinary care.

獣医療の提供に関連する短い期間を除き、野生動物をシェルターに収容してはならない。(p45)

 

捕食種と被捕食種の分離

Prey species must be housed away from predatory species at all times. 

被捕食種は、常に捕食種から離れた場所に収容しなければならない。(p45)

 

Cats should not be handled or housed within spatial, visual, or auditory range of dogs.

犬の空間的、視覚的、または聴覚的範囲内で猫を扱ったり、収容したりするべきではない。(p45)

 

【のらぬこの解説】

猫は通常捕食種として扱われますが、犬に対しては被捕食種となるので注意が必要です。

 

9.4.2 Daily routine(定例的)

Animals should be provided with a consistent and structured environment that minimizes reassignment of enclosures, caregivers, and schedules. 

動物には囲い、世話人、予定の変更を最小限に抑えた、一貫した構造的な環境を提供するべきである。(p45)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルター内の環境が常に変わることは、収容動物にとって大きなストレスになります。逆に動物の世話を定例化すると、動物はこの後に何が起こるかを学習します。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022