アニマルシェルターの行動学(7)  子犬や子猫の社会化

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける動物の行動学とメンタルヘルスについて見ています。

 

9.5.4 Enrichment within enclosures(囲い内のエンリッチメント)

 

【のらぬこの解説】

アニマルシェルターの外囲い内の環境を「豊かにする」ためには、適切な住居、快適な寝具、おもちゃなどが必要です。特に猫の場合、爪とぎ場や高い位置の休息場、隠れ家が必要ですし、犬の場合は咬むおもちゃが重要です。「ガイドライン」の本文には具体的にどのようなエンリッチメントを提供すべきという記述はありませんが、付録にエンリッチメントの例が示されています。

 

9.5.5 Socialization of puppies and kittens(子犬や子猫の社会化)

社会化の重要性

A broad range of positive socialization experiences must be provided to puppies and kittens and is best accomplished in a foster or adoptive home.

子犬と子猫には幅広い前向きな社会化体験を提供しなければならず、預かりボランティアまたは譲渡先の家で達成されるのがベストである。(p46)

 

【のらぬこの解説】

犬や猫の成長期には、その後の精神的な成長のために様々な刺激に触れさせなければならない「社会化期」という時期があります。この時期に人間や同種の動物との交流が適切に行われないと、成長してから問題行動を起こすおそれがあります。

 

母親や同腹仔との相互作用

While in the shelter’s care, young puppies and kittens should be housed with their littermates and their mother. 

シェルターで保護されている間、若い子犬と子猫は、同腹の子や母親と一緒に飼うべきである。(p46)

 

【のらぬこの解説】

社会化期を母親や同腹仔とともに過ごすことは、行動や精神的発達、種固有の行動の確立にとって重要です。離乳前の子犬や子猫が単独で保護されたような場合、健康状態を確認したうえで同じくらいの週令の他の個体と一緒にすることもあります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022