アニマルシェルターの安楽殺(5)  安楽殺の方法 その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける動物の安楽殺について見ています。

 

10.2.1 Euthanasia methods(安楽殺の方法) ※続き

 

安楽殺法として許されない方法

While necessary in rare occasions in the field, gunshot is unacceptable as a routine method for euthanasia of dogs, cats, or other small companion animals. 

野外において銃撃が必要なことはめったにないが、銃撃は犬、猫、またはその他の小型コンパニオンアニマルの日常的な安楽殺法としては許されない。(p53)

 

Inhalation of carbon monoxide is an unacceptable method of euthanasia for companion animals in shelters.

一酸化炭素の吸入は、シェルター内のコンパニオンアニマルにとって許されない安楽殺法である。(p53)

 

【のらぬこの解説】

「ガイドライン」においては、安楽殺の具体的方法について記述されていません。あくまでもAVMA(米国獣医師会)のガイドラインを遵守することとされています。しかしここでは「銃殺」や「一酸化炭素」について言及されています。ちなみにAVMAのガイドラインにおいて「銃殺」や「一酸化炭素」については「条件付きで容認」としながらも、「コンパニオンアニマルの安楽殺法として日常的に用いることは推奨されない」とされています。

「ガイドライン」では一歩踏み込んで、「銃殺」については「日常的な安楽殺法として許されない」、「一酸化炭素」は「シェルター内のコンパニオンアニマルには許されない」としています。

銃殺は緊急避難的に用いられることはありますが、確実に急所を仕留めなければ苦痛を与えるため、安楽殺法としてはかなり難度の高い方法です。ましてや野外で動き回っている動物を銃殺するのは安楽殺にならない可能性が高いといえます。

一酸化炭素(日本では作業者の安全性を考慮して二酸化炭素が用いられることが多いですが)の吸入は、理論上安楽殺とされていますが、安楽殺を完全に実施するには適切に設計・調整された機器を用い、十分に訓練を受けたスタッフが行う必要があり、かなりコストがかかる方法です。ここをきちんとやらないと、安楽殺にならず動物に苦痛を与える可能性があります。実際にシェルターや動物管理機関で一酸化炭素による安楽殺を完全実施することは事実上困難なため、「ガイドライン」においては「許されない」とされているのです。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022