2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける動物の安楽殺について見ています。
10.3 Environment and equipment(環境と設備) ※続き
機器や器具
All equipment used during the euthanasia process must be easily accessible and in good working order to ensure a safe and humane euthanasia process.
安楽殺の実行中に使用されるすべての機器は、安全で人道的な安楽殺過程を確保するために、簡単にアクセスでき、正常に機能する状態でなければならない。(p53)
A new needle must be used to administer euthanasia drugs to each animal because previously used needles may be dull or burred and cause unnecessary pain.
以前に使用された注射針は鈍くなったりバリが出たりして不必要な痛みを引き起こす可能性があるため、各動物に安楽殺のための薬物を投与する際には新しい針を使用しなければならない。(p53)
【のらぬこの解説】
安楽殺を実施する際に最も重要なことは、動物に苦痛を与えないことです。間違っても「どうせ死ぬのだから」などと考えてはなりません。安楽殺は獣医療ですから、通常の獣医療と同等に実施すべきです。万全な器具を用いてスムーズに作業を実施し、苦痛の原因を極力排除しなければなりません。注射針の再利用について記述されているということは、このような実態があるということです。これは強く戒めなければなりません。
衛生管理
Appropriate personal protective equipment must be utilized during the euthanasia process to avoid injury to personnel or transmission of disease.
職員の負傷や病気の伝染を避けるために、安楽殺の実行中には適切な個人用保護具を使用しなければならない。(p53)
Euthanasia equipment and surfaces should be cleaned after each use, and the entire euthanasia room should be sanitized regularly.
安楽殺用の器具や作業台は、使用するたびに清掃し、安楽殺室全体を定期的に消毒するべきである。(p53)
【のらぬこの解説】
安楽殺は獣医療ですから、それ相応の衛生対策が必要です。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022