アニマルシェルターの安楽殺(8)  環境と設備 その3

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターにおける動物の安楽殺について見ています。

 

10.3 Environment and equipment(環境と設備) ※続き

 

薬物の管理

All drugs used during the euthanasia process must be stored, administered, and documented in accordance with federal and state regulations. 

安楽殺実行中に使用されるすべての薬物は、連邦および州の規制に従って保管、投与、および記録しなければならない。(p53)

 

【のらぬこの解説】

安楽殺に用いられる薬物の多くは麻酔薬や鎮静薬など、中枢神経系に作用する薬物です。その中には向精神薬として法的規制がかかる薬物もあります。そういった、いわゆる規制薬物は法規制に基づき取り扱い、使用記録を残す必要があります。

 

死体の適切な処理

Storage and final disposal of animal remains must be in compliance with all applicable laws and regulations. 

動物の死体の保管と最終処分は、適用されるすべての法律および規制に準拠しなければならない。(p53)

 

【のらぬこの解説】

死体の処理については廃棄物関連の法令に準拠する必要があります。また薬物を用いて安楽殺した死体を放置すると、死体を食料とするいわゆる「掃除屋(scavenger)」と呼ばれる動物に悪影響を与える可能性があるので、何らかの規制がかかる場合があります。

 

献体の利用

It is unacceptable for shelters to euthanize an animal solely for research or educational purposes. 

シェルターが研究や教育目的のためだけに動物を安楽殺することは許されない。(p53)

 

【のらぬこの解説】

安楽殺は動物の苦痛を取り除くため、または動物や人間の安全を確保するための最終手段として実施される獣医療です。ですので、単なる人間の都合によって安楽殺を実施することは許されません。ただし何らかの理由で安楽殺された動物の死体を、社会的利益のために研究や教育目的で「献体」として利用することは容認されます。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022