2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、動物の輸送(transport)および移動(relocation)について見ています。
11.3 Responsibilities at the source(送り出す側の責任)
ワクチン接種と駆虫
As with all shelters, all eligible animals within a source population must be vaccinated at or before intake (see Medical Health).
すべてのシェルターと同様に、基礎個体群のすべての資格のある動物は、受入れ時または受入れ前にワクチン接種を受けなければならない(医療健康の項を参照)。(p55)
Ideally, all dogs 6 months of age and older are tested for heartworm disease prior to relocation.
生後6か月以上の犬はすべて、移動前に犬糸状虫症の検査を受けることが望ましい。(p55)
【のらぬこの解説】
「ガイドライン」ではアニマルシェルターに動物を受入れる際には、原則としてすべての動物にコアワクチンを接種すべきとされていますから、当然のことながら移動予定の動物だけにワクチンを接種することは推奨されません。また外部および内部寄生虫の駆虫も強く推奨されます。
医療記録の共有
The animal’s health and behavior records must be shared with the destination.
動物の健康と行動の記録は、目的地と共有しなければならない。(p55)
When required, a valid health certificate (CVI) and proof of rabies vaccination must accompany each animal.
必要に応じて、有効な健康診断書 (CVI) と狂犬病予防接種の証明書を各動物に添付しなければならない。(p55)
【のらぬこの解説】
米国では動物を州をまたいで移動する際に、健康診断書や接種証明書の添付が求められることがあるのでこう記述されています。
出発前検査
Animals must be examined by trained staff within 24 h prior to travel and deemed fit for transport.
動物は、出発前の24時間以内に訓練を受けたスタッフによって検査され、輸送に適していると判断されなければならない。(p56)
A veterinarian must confirm that animals with medical concerns or recovering from surgery are fit for transport.
獣医師は、医学的懸念のある動物や手術から回復中の動物が、輸送に適していることを確認しなければならない。(p56)
【のらぬこの解説】
出発前検査においては、動物が健康上輸送に耐えられることができるか否かはもちろん、精神的に耐えられるか否か(長時間の閉じ込め、様々な人による取扱い、他の動物との暴露など)も判断します。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022