動物の輸送および移動(5)  送り出す側の責任 その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、動物の輸送(transport)および移動(relocation)について見ています。

 

11.3 Responsibilities at the source(送り出す側の責任) ※続き

 

個体識別

Animals being transported must be provided with visual identification. 

輸送中の動物には、視覚的な個体識別措置を施さなければならない。(p56)

 

Ideally, animals are microchipped before transport, as this provides permanent identification. 

動物は輸送前にマイクロチップを装着することが望ましい。これにより恒久的な個体識別が可能である。(p56)

 

To aid in identification of individual animals, each primary transport enclosure must be marked with each animal’s unique identifier.

個々の動物の識別を支援するために、輸送用の各外囲いには、各動物固有の識別記号を付けなければならない。(p56)

 

【のらぬこの解説】

動物を輸送する際には、動物と輸送用外囲いの両方に視覚的な個体識別措置が必要です。そしてそれらはID番号等でリンクしている必要があります。動物の識別措置は首輪やタグが一般的ですが、場合によっては爪の着色など特殊な手法を用いることもあります。マイクロチップによる個体識別は輸送の際にはあまり役には立ちませんが(スキャナがどこにでもあるわけではない)、動物が外囲いから出てしまったようなときに、取り違えを防止するという観点からは頼りになります。

 

マニフェストの保管

A copy of the manifest for each transport, identifying each animal on board, must be maintained in an accessible location separate from the vehicle itself, in case an accident leads to loss or destruction of the manifest accompanying the animals. 

事故により動物に付随するマニフェスト(管理伝票)が紛失または破れた場合に備えて、輸送ごとに、輸送している各動物を特定するマニフェストのコピーを、車両本体とは別の閲覧可能な場所に保管しなければならない。(p56)

 

【のらぬこの解説】

例えばクラウドベースのマニフェストであれば、どこでもリアルタイムで閲覧できます。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022