アニマルシェルターの災害対応(2)  被害抑止

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの災害対応について見ています。

 

12.2 Mitigation(被害抑止)

Shelters should take steps to anticipate, detect, and mitigate the impacts of disasters. 

シェルターは、災害の影響を予測、検出、軽減するための措置を講じるべきである。(p59)

 

In order for shelters to reduce the impact of a disaster, they must first identify the events most likely to affect them and their communities. 

シェルターが災害の影響を軽減するためには、まず、シェルターとその地域に影響を与える可能性が最も高い出来事を特定しなければならない。(p59)

 

Shelters must identify and plan for reasonably anticipated disasters, including those most likely to occur in their geographic area. 

シェルターは、その地域で発生する可能性が最も高いものを含め、合理的に予想される災害を特定し、計画を立てなければならない。(p59)

 

【のらぬこの解説】

災害、特に自然災害を防ぐことはできませんが、災害による被害を防ぐことはできます。起こりうる災害を予測し、平時からできることをあらかじめ実施しておくことをMitigation(被害抑止)といいます。例えば津波に備えて堤防を建設する、海岸沿いの集落を高台に移転するといった、主にハード面の災害対策を指します。日本の災害対策は伝統的にMitigationを重視しますが、米国の災害対策は伝統的にPreparedness(被害軽減)、つまり事態にうまく対処し被害を最小限にとどめることを重視します。しかしハリケーン・カトリーナの教訓から、米国の災害対策にもMitigationが盛り込まれるようになっています。しかしPreparednessの相対的な重要度は変わらないため、「ガイドライン」においてこの項はさらりと書かれています。アニマルシェルターにおけるMitigationは、例えば次のようなことです。

 

地域のペットの個体識別措置の普及 飼い主からはぐれたペットを速やかに返還できるよう、地域のペットにマイクロチップなどの個体識別措置を確実に実施することは極めて有効です。

 

シェルター建設時の、建築法令の遵守 シェルターを建設する際には、建築関連法令で定められた防災基準を満たす必要があります。

 

シェルターの減災工事 シェルターが現在の防災基準を満たさない古い建築物の場合、追加の工事が必要になるかもしれません。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022