2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの災害対応について見ています。
12.4 Response(応急対応)
Response plans should be followed as soon as a disaster is anticipated or has occurred.
災害が予想されるか発生したら、すぐに災害対応計画に従うべきである。(p60)
When indicated, an ICS should be initiated rapidly to designate and maintain a clear chain of command and communication infrastructure (see Appendix I).
指示があれば、ICS を迅速に開始し、明確な指揮系統と通信インフラを指定および維持すべきである。(p60)
【のらぬこの解説】
災害発生時に、事前に準備しておいた災害対応計画を実施するのがResponse(応急対応)です。災害対応は初動対応が最も重要とされていますから、Responseは即時に実施されます。なおICSとはIncident Command System(災害マネジメントシステム)の略で、米国において開発された「緊急時における標準化された組織マネジメント手法」のことです。
動物の受入れと処置
Each animal admitted during a disaster must receive at least a cursory assessment at intake to check for signs of infectious disease, any conditions that require emergency medical care, and exposure to hazards.
災害時に受け入れられた各動物は、感染症の兆候、緊急医療を必要とする状態、および危険への暴露をチェックするために、受入れ時に少なくとも大まかな評価を受けなければならない。(p60)
Animals admitted during a disaster should be given core vaccines, including rabies and parasite control (see Medical Health).
災害時に入所した動物には、狂犬病や寄生虫の制御を含むコアワクチンを接種するべきである(医療健康の項を参照)。(p60)
Animals must be decontaminated when applicable (e.g. exposure to flood waters, fire retardants, or drug labs).
該当する場合は、動物を除染しなければならない (例: 洪水、難燃剤、または薬品研究所への曝露)。(p60)
【のらぬこの解説】
アニマルシェルターが地域の被災動物を受入れる際には、トリアージ(処置の優先順位の決定)のためにまず簡単な診察を行い、必要に応じて処置を行います。一般的なシェルターへの受入れと同様、動物にはワクチン接種と駆虫を行います。動物が汚染物質にさらされていれば、まず除染を行います。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022