アニマルシェルターの災害対応(6)  応急対応 その2

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの災害対応について見ています。

 

12.4 Response(応急対応) ※続き

 

飼い主への返還

As soon as it is safe, shelters must make concerted efforts to reunify pets displaced by a disaster. 

安全が確保され次第、シェルターは、災害によって家を追われたペットを再会させるために協調的な努力をしなければならない。(p60)

 

【のらぬこの解説】

災害時に飼い主からはぐれたペットは、極力飼い主と再開させることが望まれます。飼い主も被災し避難所にいるかもしれませんが、それでもペットと一緒にいることは飼い主とペットの両方にとって精神的メリットがあります。保護動物についての情報はインターネットや壁新聞など、あらゆる手段を通じて公開する必要があります。また被災地から離れたアニマルシェルター等がペットと思わしき動物を受け入れた場合、飼い主の捜索や返還方法、またペットを被災地に戻すことの可否などを判断するため、被災地のスタッフと連絡を密にしておく必要があります。

 

既存の個体群の扱い

Shelters outside of the disaster area accepting impacted animals must be able to provide appropriate care and outcomes for their existing population before volunteering to accept displaced animals. 

影響を受けた動物を受け入れる災害地域外のシェルターは、避難した動物を受け入れるボランティアをする前に、既存の個体群に適切なケアと結果を提供できなければならない。(p60)

 

【のらぬこの解説】

これはボランティアの基本ですが、まず自助を前提とし、余力で他者の支援を行うべきです。災害時であっても、収容動物のケアは通常通り行わなければなりません。

 

支援物資、支援金、補助金の管理

Shelters should have a system for managing physical and monetary donations during disaster response and recovery. 

シェルターには、災害対応および復旧時に物的および金銭的な寄付を管理するためのシステムを設けるべきである。(p60)

 

Shelters should track resources used during disaster response and recovery. 

シェルターは、災害対応と復旧中に使用されるリソースを追跡するべきである。(p60)

 

【のらぬこの解説】

支援物資や支援金の管理はかなり手間がかかる作業です。あらかじめ管理システムを構築しておかないと、貴重なリソースをそちらに取られてしまいます。また災害対応に要したリソースの記録は、災害に関する公的補助金の申請に必要な場合があります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022