アニマルシェルターの災害対応(7)  応急対応 その3

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの災害対応について見ています。

 

12.4 Response(応急対応) ※続き

 

ボランティアの受入れ

Shelters must anticipate the arrival of self-deployed volunteers during a disaster and must address how these individuals will or will not be used. 

シェルターは、災害時に自己展開したボランティアの到着を予測し、これらの個人をどのように活用するか、または活用しないかについて対処しなければならない。(p60)

 

【のらぬこの解説】

被災地には、自主的に支援を申し出るボランティアが全国から(全世界から?)訪れます。こういったボランティアの交通整理も、災害対応の重要な任務です。アニマルシェルターの業務は特殊ですから、へたに素人が携わると人や動物を危険にさらす可能性があります。またその人が動物の取扱いについてどの程度のスキルを有するかは、見た目で判断はできません。獣医師や愛玩動物看護師の有資格者だけを受入れるという考え方もありますが、動物の取扱いに精通していない外来者でも担うことができる役割について災害対応計画に定義しておくと、ボランティアを有効に活用できます。

 

法令順守

Responders may include volunteer veterinarians or veterinary technicians; veterinary professionals must only provide medical treatment or services when they hold a license to practice in that jurisdiction or are exempt from this requirement. 

対応者には、ボランティアの獣医師または獣医看護師が含まれることがある。獣医師は、その管轄区域で開業するための免許を持っている場合、またはこの要件を免除されている場合にのみ、医療またはサービスを提供しなければならない。(p60)

 

Even during a disaster, oversight of use and storage of controlled substances must remain with the individual identified as the responsible party on the DEA license for that premise.

災害時であっても、規制物質の使用と保管の監視は、その施設の DEA ライセンスで責任者として特定された個人に委ねられなければならない。(p60)

 

【のらぬこの解説】

米国の獣医師免許は州ごとの登録となっているので、こういう記述になっています。少なくとも日本国内においては、日本の獣医師免許は特別な手続きをとらなくても全国で有効です。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022