2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの災害対応について見ています。
12.5 Recovery(復旧・復興)
シェルターの被災状況の確認
If damage to the shelter building, grounds, or local infrastructure is a concern, a full safety assessment must be made prior to resuming normal activities in that area or facility.
シェルターの建物、土地、または地域のインフラの損傷が懸念される場合は、その地域または施設で通常の活動を再開する前に、完全な安全評価を行わなければならない。(p61)
【のらぬこの解説】
復旧にあたってはまず、アニマルシェルターの被災状況を把握する必要があります。
譲渡や里親の調整
Shelters must tailor placement efforts when their community is impacted by a disaster.
シェルターは、地域が災害の影響を受けた場合、配置の取り組みを調整しなければならない。(p61)
【のらぬこの解説】
地域住民が住居の再建や仮設住宅の確保に苦労しているときには、当然ながら動物の譲渡や預かりボランティアに構っている余裕はありません。被災を免れた周辺地域で譲渡会を開催したり、野良猫の場合はSNR(shelter-neuter-return:避妊去勢手術ののちに元の場所に戻す)を検討するなど、過剰収容を避ける取り組みが必要です。
飼い主との再会支援
Shelters should provide additional services that support keeping pets with their owners in the time frame immediately following the disaster.
シェルターは、災害直後の時間帯にペットを飼い主と引き合わせることをサポートする追加サービスを提供すべきである。(p61)
【のらぬこの解説】
もちろん、引き合わせた後の対応も重要です。例えば飼い主が仮設住宅に入居している場合、仮設住宅でペットを飼育できるような支援が必要ですし、シェルターがペットを預かる必要があるかもしれません。
報告と評価
Following a disaster, shelters should debrief and evaluate their planning, response, and recovery processes, so that adjustments to their plans can be made.
災害後、シェルターは、計画の調整ができるように、計画、対応、および復旧プロセスについて報告し、評価すべきである。(p61)
【のらぬこの解説】
災害対応計画の実施状況を報告書の形でまとめることは、計画の検証や改訂の良い機会になります。もちろんそれは落ち着いてからでもかまいません。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022