アニマルシェルターの公衆衛生(5)  咬傷事故

2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの公衆衛生について見ています。

 

13.3.3 Biological hazards(生物学的危険)

 

Animal bites(咬傷)

The public must be prevented from having contact with animals who pose a high risk of biting by clearly marking and restricting access to areas where these animals are held. 

咬傷の危険性が高い動物との接触を、これらの動物が飼われている場所への立入りを明確に示して制限することにより、公衆は守られなければならない。(p63)

 

Shelters must consider public safety when making outcome decisions regarding animals who pose a risk of serious harm. 

シェルターは、深刻な危害のリスクをもたらす動物の結果を決定する際に、公共の安全を考慮しなければならない。(p63)

 

If, after a careful, in-depth risk assessment, the shelter decides that an animal with a history of mild to moderate aggressive behavior is eligible for a live outcome (see Behavior), a record of all known bite incidents must be provided in hardcopy or electronic form to adopters, fosters, or transfer partners.

慎重で詳細なリスク評価の後、シェルターが、軽度から中等度の攻撃的な行動の履歴を持つ動物を譲渡対象と判断した場合 (行動の項を参照)、既知のすべての咬傷事件の記録を複写または電子データで新しい飼い主、里親、または譲渡団体に提供しなければならない。(p63)

 

【のらぬこの解説】

咬傷事故はアニマルシェルターで頻発する労働災害です。この業界で仕事をしている人の多くは、犬や猫に咬まれた経験があるはずです(私は犬にも猫にも咬まれました)。動物の取り扱いを工夫することにより咬傷事故の可能性を軽減することはできますが、完全に防ぐことはできません(現に私も咬まれていますから)。がっつり咬まれることはそうそうないかもしれませんが、特に大型犬や闘犬の場合大けがにつながる可能性があるので注意が必要です。

動物に咬まれたらすぐに傷口を流水で洗浄することで、感染のリスクを低減することができます。猫や子犬の歯は鋭利でどちらかというと「刺さる」ような傷ができ、傷口を開いて洗浄することはなかなか困難です。この場合はできるだけ傷口から血液を絞りだし、細菌を外に出すことが重要です。どちらにしても、応急処置ののち速やかに医療機関を受診する必要があります。

 

※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022