2022年に改訂された、ASV(シェルター獣医師会)の“Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters Second Edition”※(アニマルシェルターにおけるケアの基準に関するガイドライン第2版、以下「ガイドライン」)から、アニマルシェルターの公衆衛生について見ています。
13.3.3 Biological hazards(生物学的危険) ※続き
Animal rabies exposures(動物の狂犬病への暴露)
At intake, shelter personnel must ask owners and finders of incoming animals about recent wildlife bites or exposures.
受入れ時に、シェルターの職員は、受入れようとしている動物が最近野生動物に咬まれたり、接触したか否かを、所有者や発見者に尋ねなければならない。(p63)
During intake health assessments and physical examination, shelter personnel should look for and document evidence of wounds that could indicate a potential rabies exposure.
受入れ時の健康評価と身体検査の間、シェルターの職員は、潜在的な狂犬病曝露を示す可能性のある傷の証拠を探して記録するべきである。(p63)
【のらぬこの解説】
米国は狂犬病発生国のため、アニマルシェルターに動物を受入れる際にはその動物が狂犬病に罹患していないかどうか確認する必要があります。日本でそこまでする必要はありませんが、狂犬病の可能性については頭の隅に置いておく必要があるでしょう。
狂犬病発生時の措置
Animals who have potentially been exposed to rabies must be managed with guidance from the NASPHV Rabies Compendium, and in accordance with state and local health regulations.
狂犬病に感染した可能性のある動物は、NASPHVの狂犬病対策要綱の指示に従い、州および地域の保健規制に従って管理しなければならない。(p63)
【のらぬこの解説】
日本では厚生労働省の「狂犬病対応ガイドライン2001」および「狂犬病対応ガイドライン2013」に基づき対応することになります。日本で狂犬病を疑う動物を発見した場合、早急に最寄りの保健所に通報し、その指示を仰いでください。なおNASPHV(全米公衆衛生獣医師会:National Association of State Public Health Veterinarians)とは、各州の衛生部局に勤務する公衆衛生獣医師(SPHV)の全米団体です。
ワクチンの接種
Shelters should vaccinate all animals eligible for rabies vaccine prior to leaving the shelter (see Medical Health).
シェルターは狂犬病ワクチンの対象となるすべての動物に、シェルターを出る前にワクチンを接種するべきである (医療健康の項を参照)。(p63)
【のらぬこの解説】
日本では「狂犬病予防法」の規定に基づき、犬に狂犬病ワクチンを接種する必要があります。
※ Journal of Shelter Medicine and Community Animal Health 2022 -http://dx.doi.org/10.56771/ASVguidelines.2022